5G(5th Generation)、特にPrivate 5Gやローカル5G、さらにそれらの中でも28GHz帯のミリ波は、極めて高機能であると同時に、企業ユーザーからのリクエストを反映させやすい、極めて民主的(Democratic)なネットワークです。それは同時に、通信業界自身が様々な業界の最先端産業技術動向やその将来展望について学んでおく必要があることを意味します。今回の「日本の産業技術最前線」は、世界をリードする最先端産業技術を誇る様々な業界における有力企業のエンジニアやプロデューサが、その技術詳細と将来展望を、通信ビジネスに関わるエンジニア/ビジネスプロデューサに直接語る連続セミナーとして企画しました。第1回は、独自のエレクトロニクス技術で民生向け、医療、FA、インフラなどのあらゆる分野でその価値を発揮する株式会社村田製作所・プリンシパルリサーチャーの上田英樹氏に、同社の技術戦略展望および研究開発現場の最先端について語っていただきます。
テレビ、PC、スマートフォンなど、ムラタの電子部品は身の回りのあらゆる電子機器に使われ、豊かな暮らしの実現に貢献してきました。そして、通信、モビリティ、環境、ウェルネスなど、拡大するエレクトロニクス領域においてこれからも常にInnovatorであり続けるであろうと考えられます。ムラタは通信分野では、表面波フィルタ(SAWフィルタ)、高周波モジュール、樹脂多層基板(メトロサークTM)、コネクティビティモジュールなどを開発していますが、今回のイベントでは『村田製作所が目指す文化の発展に貢献するイノベーション』について魚住部長から、そして『ミリ波技術による村田製作所の社会貢献』について上田プリンシパルリサーチャーから語っていただきます。
5Gのミリ波は全国を一律でカバーするという性質のものではありません。狭いエリアにおいて高速大容量が必要となるような、密集した場所や通信機器が多い場所(スタジアムや駅前、イベント会場など)に向いています。また、電波が必要以上に飛ばないという性質は堅牢なセキュリティの確保が求められる工場や病院などに最適です。閉域で利用するローカル5Gとの相性も優れています。ただし、ミリ波エリア拡大、ミリ波対応端末普及、ミリ波ユースケース増加は未だ発展途上です。そこで第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)では今年1月に「ミリ波普及推進アドホック」をスタートさせ、現状分析や対策に関する検討を進めてきました。その結果を白書にまとめ、3月に第一版、7月に第二版を公開しました(こちらからダウンロードできます)。さらにミリ波普及を推し進めるため、今回の連続イベントを企画しました。本イベントでは様々な業界の有識者の方に将来展望をご説明いただき、それをもとにミリ波活用の可能性やミリ波社会実装に向けた対策を議論させていただきますとともに、我々業界と様々な分野の方の人的ネットワークを広げることで、ミリ波の社会実装を加速したいと考えています。6G時代のテラヘルツ波への展望なども併せてご紹介できると考えています。